ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)の症状と対策について

ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)とは

ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)とは、ヘッドホンやイヤホンを使用して大音量で音楽を聞くことによって起こる難聴のことです。


少し専門的な言葉を使うと、爆発音のような音の強振動やライブ会場の大音響などにさらされることで起こる難聴を「音響性難聴(音響外傷)」、工場の機械音や工事現場などで一定以上の大きさの音を絶えず聞いていることで起こる難聴を「騒音性難聴」と呼びます。


ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)はこのうち、とくに音響性難聴に含まれるものとされます。


世界保健機構(WHO)は2015年に、世界各国の男女12歳~35歳の若者のうち11億人が、携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンで「有害な音量」の音楽を聞くことによって音響性難聴のリスクにさらされていると報告しています。



ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)の原因

内耳の中には蝸牛(かぎゅう)という器官があり、その中に「有毛細胞」という音を感じ取る細胞があります。


有毛細胞の働きは、蝸牛に伝わってきた音の振動を電子信号へと変換し、聴神経を通じて脳に伝えることです。


このことによって音が聞こえます。


しかしこの有毛細胞は大音響や騒音によって傷つき、壊れてしまいます。


具体的には、100dB以上の大音響では急に難聴が生じることがあり、80dB程度でも1週間当たり40時間以上、98dBで1週間当たり75分以上の音を聞き続けると、難聴の危険があるとされます。


つまり、ヘッドホンやイヤホンを使い、「大音響」かつ「長時間」で音楽を聞いていると、有毛細胞が傷ついて音が聞こえにくくなる可能性があるわけです。


したがってヘッドホン難聴(イヤホン難聴)の原因は、スマホとイヤホンを使うなどして一定の音量以上で長い時間、音楽を聞くことにあります。


ちなみに100dBは電車が通るときのガード下の音や、液圧プレス(1mの距離)の音だと言われます。

80dbは地下鉄の車内、交差点、ピアノ(1mの距離)くらいの音です。



ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)の症状と治療

聴力の低下、耳鳴り、めまいなどがヘッドホン難聴(イヤホン難聴)の主な症状です。


耳が聞こえづらくなったと感じてときどき耳鳴りがあり、日常生活の中でめまいが起こることや、ときには耳の奥に痛みを感じるケースもあります。


また、ヘッドホンやイヤホンを使っていて難聴になるときは、低音が聞こえにくくなる「低音難聴」や、音がこもったように(詰まったように)聞こえる症状が出ることもあります。


いずれにせよ問題なのは、多くの場合、これらの症状が出るようになったときにはすでに難聴が進行しているということです。


しかも、有毛細胞が壊れてしまうと、基本的にこれをもとに戻すことはできません。


有毛細胞が壊れる前であれば、ヘッドホンやイヤホンの使用をやめ、それ以外の大きな音も聞かないようにして耳の安静を図れば回復が見込めます。


また、一時的な難聴なら内服や点滴のステロイド剤による薬物療法、あるいは血管拡張薬(プロスタグランジンE1製剤)、ビタミンB12製剤、代謝促進薬(ATP製剤)などが効果的な場合もあります。


しかし、一般的なヘッドホン難聴(イヤホン難聴)は治療が難しいものと理解しておいてください。



ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)を防ぐために


音量を下げたり、休憩時間を設ける

音量を上げすぎず、連続して長時間音楽を聞きすぎないようにしましょう。

音量の目安はヘッドホンやイヤホンで音楽を聞いても外部の会話が聞こえるくらいの音の大きさです。

また、1時間聞いたら最低でも5分程度は耳を休ませましょう。


使用を1日1時間未満に制限する

ヘッドホンやイヤホンの使用を1日1時間未満に制限するのも効果があります。

また、ヘッドホンやイヤホンを使わない日を設けるのも有毛細胞の回復に役立つ方法です。

普段から耳に負担をかけすぎないよう気を使いましょう。


ノイズキャンセリング機能のついたイヤホン・ヘッドホンを選ぶ

周囲の雑音をシャットアウトできるノイズキャンセリング機能もヘッドホン難聴(イヤホン難聴)防止に役立ちます。

ノイズキャンセリングにより、大きい音量で音楽を聞かなくて済むためです。

外出中にヘッドホンやイヤホンで音楽を聞くことが多い人は、できればノイズキャンセリング機能つきの製品を選びましょう。


遮音性の高いイヤホンを使用する

遮音性の高いイヤホンやヘッドホンも難聴になりにくい効果が期待できます。

こちらも遮音性が高ければその分、小さな音量で音楽を楽しめるからです。

イヤホンで言えばおすすめは耳にフィットするカナル型イヤホンです。

またその場合、イヤーピースが耳穴のサイズにぴったりと合っているかどうかがポイントになります。


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