終わりの見えないコロナ禍で増大する不安とストレス
昨年1月に日本国内初の感染例が発表され始まった、私たちと新型コロナウイルス(COVID-19)感染症との戦い。今年の9月で早くも1年8カ月となりました。
ウイルス感染症は、感染したことによって身に降りかかる症状への恐怖だけではなく、目に見えない敵との戦いであるからこそ、「自分も感染してしまうのではないか」「知らない間に感染し、誰かにうつしてしまうのではないか」という、不安との戦いでもあります。
そして誰にも予想のできなかった長期戦となったことで、不安がストレスを増大させ、また、自粛を基本とした感染症対策も相まって、実際に外来診療で呼吸の苦しさを訴える患者さんが残念なことにとても増えています。
しかし、念のため熱を測ると平熱で、酸素飽和度も正常値。感染症への恐怖、仕事や経済的な不安、人と交流できない孤独などで体が異変を来しているのです。
この異変を来している原因が、「自律神経」と呼ばれる、私たちにとって非常に大切な神経の不調なのです。
自律神経とは、端的に言えば、あなたの体を自動でちょうどいい感じにしてくれる神経です。自動ですから、普段私たちは意識することはありません。だからこそ自律神経に不具合が生じた場合、気づきにくいとも言えるでしょう。
また、自律神経は変化にとても敏感です。本当にちょっとしたことで簡単にそのバランスは乱れます。
さらに、加齢によって自律神経の力が落ちることもわかっており、男性は30代、女性は40代がそのタイミングです。まさに私も30代で自律神経の不調に悩まされています。
自律神経を整えるおすすめの生活習慣
不安や緊張を解消する呼吸法
【姿勢】
①椅子に座る
②背筋を伸ばす
③両手で体を包むように腕組みをする(目は閉じても、開いていてもよい)
【呼吸】
①両腕で体を抱きしめながら、3秒、鼻から息を吸う
②続いて6秒、口からゆっくりと息を吐く
この動作を10回程度繰り返してみてください。緊張や不安が解消され、リラックス効果も得られるでしょう。
心をデトックスする「3行日記」
・1行目に「今日失敗したこと」
・2行目に「今日いちばん感動したこと」
・3行目に「明日の目標」
以上の3つです。
毎日の終わりに手書きで書いてみましょう。
小林 弘幸
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。
ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。
自律神経研究の第一人者として、数多くのプロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。
https://toyokeizai.net/articles/-/454943