テレワークで足がむくむのは胃腸が弱っているから

自粛生活で増えるむくみの悩み。臓器3つの水分代謝がカギ

むくみは日頃よく起こる症状のひとつです。特に、コロナ禍でテレワークや外出の自粛が増えてから、むくみに関する相談が増えました。


むくみとは、血液中の水分が血管やリンパ管の外に染み出て、皮膚の下に溜まった状態です。


顔やまぶた、手指、足首からふくらはぎにかけての部分が特にむくみやすく、ときに身体全体がむくむこともあります。


むくみの原因には、大きく分けて以下のものが考えられます。


運動不足や長時間の立ち仕事、睡眠不足、生理前など日常的な要因

な要因


病気(心不全や腎不全、肝硬変、ネフローゼ症候群など)

薬や塩分の摂り過ぎ

中医学では身体全体の水分代謝の低下がむくみの原因だと考えます。


中医学で水の代謝は主に『肺・脾(胃腸)・腎』の3つの臓器が協力し合うと考えますが、そのうちのどこかの機能が低下すると体内の水が滞り、むくみが生じやすくなると考えます。


それでは、それぞれの部位の水分代謝を整える漢方薬や薬膳、養生などを考えていきましょう。


胃腸の弱りが招く、足のむくみ

むくむ場所によって改善していくべき臓器が変わります。


今回のように足がむくむ場合は、次の2つが原因になっている場合が多いと考えられます。


① 脾胃 ②腎


まず①の脾胃(胃腸)に過剰な水が滞った場合のむくみの原因について。


元々胃腸が弱い

冷たいものや脂っこいもの、甘いものなどの摂り過ぎにより胃腸に負担がかかっている

このように脾胃の消化機能が低下していると、水分代謝も低下してむくみに繋がります。部分としては主に、全身や手足がむくみやすくなります。


この場合はトウモロコシやかぼちゃ、さつまいも、お米など自然の甘味の食材やもやし、バナナ、海藻、はと麦、小豆など身体の水はけを良くする食材を意識して摂りましょう。

また、普段から温かくてあっさりした和食を中心とし、よく噛んで食べましょう。


腎臓が原因の下半身のむくみには「黒」を

次に②腎に過剰な水が滞った場合のむくみ。


身体を温める腎陽が不足した状態が続くと、水を尿として排出できず、水が停滞します。


長期化しやすく、主に下半身がむくみやすくなります。


この場合は黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、ヒジキなどの黒い食材や牡蠣、シジミ、ナマコ、海藻類など鹹味(塩辛い味)を意識して摂りましょう。


また、普段から身体(特に腰回りや下半身)を冷やさないようにして、疲れやストレスも溜め過ぎないようにしましょうね。


肺が原因だった!顔のむくみ

最後に今回のご相談とは直接関係はないですが、肺に過剰な水が滞った場合のむくみについてです。


肺は外気の影響を最も受けやすく、からだの水の出入と関係が深い場所です。湿気で肺が塞がって、水が停滞し代謝できないと、むくみになります。


主に、顔やまぶたがむくみやすくなります。


長芋やジャガイモ、さつまいも、桃、鯖、大葉、ネギ、生姜など肺を元気に、湿気を飛ばしてくれる食材を意識して摂りましょう。


また、普段から深呼吸やウォーキングやランニングなどで肺を働かせて心肺機能を高めるようにしましょう。


ほかにも血行不良や生理前、妊娠中などさまざまな原因がむくみに繋がります。


コロナ禍で外出しにくい毎日ですが、運動不足もむくみの大きな原因になります。


ウォーキングやランニングなど無理のない運動で町や自然の景色、自然の風、香りを感じながら身体の気、血、水を巡らせてあげましょう。



田中友也

鍼灸師、登録販売者、国際中医専門員、メンタルヘルス・マネジメントⅡ種資格保有。関西学院大学法学部卒業後、「イスクラ中医薬研修塾」にて中医学の基礎を学び、北京中医薬大学、上海中医薬大学などで研修。現在は兵庫県神戸市にある「CoCo美漢方(ここびかんぽう)」で日々健康相談にのる。


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